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酢の起源は?

 酢の起源は酒と同じ、さかのぼること遙か紀元前5千年のバビロニア地方。
ナツメヤシの樹液やレーズンワイン、ビールなどからビネガーをつくり、ふつうに飲み物や調味料、食品の保存に家庭でつくられていたようです。日本への伝来は応神天皇の5世紀頃で、酢の物(なます)や酢漬けが食されました。産地は堺港が発祥で和泉酢と呼ばれ、豊臣時代(1590)から各地にも伝わり、尾道造酢もこの頃に誕生しました。

 ちなみに酢はフランス語でビネガー(vinaigre)、すっぱいワイン(vin aigre)のこと。原料の穀物や果実の糖分を酵母菌で発酵させて酒を醸造し、ビネガーマザーと呼ばれる酢酸菌(アセトバクター)を加えて酢酸発酵させたものが酢です。

酢には日本の米酢や黒酢を始めとする穀物酢に加え、西欧のワインビネガー、リンゴ酢、バルサミコ酢などの果実酢があります。
酢を多く使う日本の調味料にはすし酢、甘酢、二杯酢、三杯酢、土佐酢、ワサビ酢、カラシ酢、ゴマ酢、タデ酢、梅肉酢、南蛮酢、酢味噌、ぽん酢など、酢は日本の伝統食に欠かせません。

 さらにサラダドレッシングやマヨネーズ、ピクルス、マリネ、カルパッチョなど、酢はヘルシーな食生活を豊かに彩ってくれます。

“すっぱい”は健康のもと

 酢の薬効、特に強い殺菌作用は紀元前400年頃のギリシャ時代には知られていました。
医学の祖といわれるヒポクラテスはその殺菌作用に着目し、呼吸器病、疥癬病、狂犬病などの治療や、回復期の患者には酢卵を飲ませたりしました。
 これより前のアッシリアの医学書には、中耳炎や皮膚病をはじめ、咳止めには蜂蜜ビネガーが用いられたという記述があります。酢は最古の調味料だけでなく、最古の抗生物質でもありました。

疲労回復のもと

 激しい運動のあとで疲れたとき、甘酸っぱいものがほんとうにおいしいのはなぜ?
体が要求しているその理由は、疲労の原因となる乳酸を分解する力が、酢に含まれる酢酸やクエン酸にあるからです。激しい運動の後は、糖分と酢を一緒に摂ると運動で消耗したグリコーゲンを回復し、血行をよくして疲労回復効果を高めてくれます。 また、酢には乳酸の蓄積を抑え、血液中の乳酸の上昇を抑制する効果もあります。
 疲労の回復はもちろん、肩こりや筋肉痛の防止、神経疲労の予防、肝臓病の改善、さらに体液を弱アルカリ性に保ち、各種の病気を予防してくれます。そのためにはクエン酸だけ多量に摂ればいいというのは誤りです。必須栄養素をバランスよく摂取したうえで、米酢やりんご酢など酢の物をひんぱんに食べること。夏みかんなど酸っぱい果物も効果的です。

消化・吸収のもと

 食欲不振でも、さっぱりした酢の物なら手が出るのはなぜ?
酢の主成分は酸味の元である酢酸およびグルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などの有機酸で、アミノ酸、炭水化物、カリウム、マグネシウム、リン、ナイアシンも若干含まれています。これらが一体となって、芳醇な味と香りをかもし出します。 それがまず唾液や胃酸などの分泌を促します。胃酸過多で潰瘍気味の方はのぞき、夏場の食欲の落ちる時でも、1回の食事で小さじ一杯位の酢がさわやかに消化を助けて、疲れた胃腸を元気にしてくれます。気分まですっきりと、食欲増進させてくれる酢には、体内の老廃物や有毒物質を取り除くのを助ける働きがあるともいわれています。

カルシウム吸収のもと

 南蛮漬けはただおいしいだけじゃなかった!はなぜ?

骨の成分であるカルシウムは、毎日の食事から摂取しなけばならないのですが、実はたいへん消化吸収しにくい栄養素です。ところが小魚の骨などは、酢の主要成分の酢酸によって溶かされ、消化吸収しやすい酢酸カルシウムになります。アジやイワシの南蛮漬けは、骨まで食べられるように考えられた料理だったのです。また煮魚に酢や梅干しを入れるのは魚の臭みを取るだけでなく、骨まで柔らかくして、日本人に不足しがちなカルシウムを吸収しやすくするためなんですね。
骨粗鬆症の予防のためにも、カルシウムと酢の関係をもっと見直したいものです。

酢肌美人のもと

 サラダにビネガードレッシングがお決まり、はなぜ?
野菜や果物を切ったりすり下ろしたりすると、細胞からビタミン分解酵素が出ます。
これがビタミンCを分解してしまいます。しかしこのビタミン分解酵素は、酸性では働きにくいという特徴があるため、酢やレモンを振りかけるとビタミンCが壊れにくくなります。

またリンゴを切ると赤く変化したり野菜が変色するのも、酵素と空気によって酸化するため。これは酢水やレモン水につけると防げます。野菜をゆがくときや、煮物にも酢をたらすとビタミンCが保たれます。

ミキサーで野菜ジュースをつくるときや、モミジおろしにも、酢を上手に使えばビタミンCをもう逃がしません。

元気のもと

 酢の健康法が見直されているのはなぜ?

酢は体内や血液中に蓄積した乳酸を分解して血液の流れをスムーズにします。そのために肩こりや筋肉痛をやわらげ、冷え性にも効果があるといわれています。またリンゴ酢にはナトリウム排泄作用や利尿作用があり、塩分の摂りすぎによる高血圧を予防してくれます。
健康な人の体液は弱アルカリ性を示します。不健康になると酸性に傾くのですが、酸性体質になるとインスリンの作用が阻害され、体内に有害物質がたまったり、血糖値が高くなって肥満や糖尿病につながる恐れがあります。
酢にはこの酸性体質を改善し、老化を防止する働きがあることも報告されています。

風邪にもマケズのもと

 風邪のひきはじめには、酢とハチミツを入れた生姜湯はありがたいものです。
体を温めるとともに、酢がのどの炎症の痛み、イライラを和らげます。風邪やインフルエンザの予防には、酢と塩を入れた水でうがいすることも効果的。また、飲むだけでなくお酢の湿布も、ぜんそくなどの呼吸を楽にしてくれたり、関節炎やリウマチにも効果があるようです。酢の殺菌作用はうがいによって菌を抑え、口内炎も早く直るといわれています。

酢の効能

 酢の最大の特徴は強い殺菌力です。
そのため古くから調味料や食品の保存、病気の予防や治療だけでなく、オリーブの樹脂を除くための溶剤としても使われたり、ご婦人が美容のために酢の風呂に入ったり、髪をシャンプーしたりもしました。

 

お掃除酢

殺菌・抗菌効果

 キッチンでの殺菌力は、食中毒の予防に効果的です。
包丁やまな板に付着した菌も、食塩を加えた食酢に1時間つけておくだけでOK。有害な細菌の多くが比較的短時間で死滅します。サルモネラ菌や大腸菌なども死滅し、O-157の感染防止にも効果があります。

消臭効果

 魚の臭みの原因物質であるアミン類は、酸と結合して臭いを失います。
魚食中心だった日本人は、古くから酢や梅干しを巧みに使ってきました。水に薄めた酢を使って冷蔵庫を掃除すると、消臭や雑菌の除去、カビ予防にも効果的。

ゴミ袋の悪臭を消す

 生ゴミ袋の中に酢を少量ふりかけるだけで、生ゴミのいやな臭いを中和して簡単に消えます。
流し台のシンクや排水口の臭いなども、酢の消臭力や防カビ効果をお試しください。

畳の黄ばみを取る

 古くなって畳が黄ばんできたら、掃き掃除したあとに酢水につけた雑巾を固く絞り、雑巾がけします。
黄ばみがとれるとともに、防菌・防カビ効果もうれしいですね。

 

お洗濯酢

界面活性効果

すすぎのときに、キャップ1~2杯の酢を入れると染み抜きとともに、衣類がふんわりソフトに仕上がります。酢には洗剤と同じ汚れを落とす界面活性作用があり、同時に繊維を柔軟にするリンスの効果があります。

水アカを取る

 洗濯機などに水アカや洗剤の残りカスがこびり付いてしまったら、洗濯槽に水を張りカップ1杯の酢を入れて回します。 水アカを分解するとともに、カビ取りと抗菌効果で洗濯槽を清潔に守ります。月に一度の割合で、心掛けたいものです。また、やかんなどの湯アカも、酢水で磨くとキレイになります。

お風呂酢

 入浴剤としても酢は効果的です。
雑菌を落としてくれますし、血行をさらに促進します。水虫の白癬(ハクセン)菌や、ニキビの原因となる菌にも殺菌効果が認められています。同時に美肌効果や、リンス効果で髪にもつやが出ます。

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